「一人一台端末環境におけるICT活用と情報モラル教育の実践に関する調査報告書」を公開
8割以上の教員が自ら情報モラル教育を実践。カギは教員のICT活用の日常化にあり、実践をした教員の約4割が、児童・生徒の校外での私的なネット利用へも変化を感じている
2021年08月05日

学校現場で今後求められる情報モラルの内容や教育実践手法、課題等を明らかにすべく、「一人一台端末環境におけるICT活用と情報モラル教育の実践に関する調査」を実施し、報告書を公開しました。
ネットトラブルは、児童・生徒の私的に所持する端末から様々なネットサービスを介して発生するため、学校としては具体的な事情を把握しにくいという背景がありました。そのため、情報モラル教育は、これまで教育CSRを行う企業等の外部機関が講師を学校に派遣し、児童・生徒が集まった場所で講演する形態が一般的でした。LINEみらい財団も、独自開発した教材を用い、LINEオフィシャルインストラクターが、全国の学校や自治体、関係機関において、講演活動を無料で行っております。
しかし、GIGAスクール構想*の推進を契機に、全国の学校で、「一人一台端末」「高速通信網」「クラウド活用」が整備されているなかで、学校での情報モラル教育についても変化が想定されます。
このたび、その変化の傾向把握と今後の教育のあり方を検討するために、実態調査を実施いたしました。具体的には、すでにICTを積極的に活用している自治体や学校に協力いただき、一人一台端末環境を実現している学校の教員及び管理職の方々のアンケート内容の分析をいたしました。
*GIGAスクール構想 (外部サイト)
文部科学省が推進する、一人一台端末環境の実現など、子供たち一人一人に個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境を実現するための施策。
■調査サマリー
・ネットトラブルは校内で発生している(家庭の問題だけでなく学校の問題に)
・情報モラルの指導は教員の多くが自ら実践をしている(外部機関による指導から教員による指導へ)
・教員による情報モラル教育の実践や意識は、教員のICT活用の程度や意識と関係する(ICT活用の日常化の重要性)
・教員による情報モラル教育の副次的効果として、校外での児童・生徒のネット利用にも好影響をもたらす(学校と家庭の接続の重要性
■調査概要
・調査目的
学校現場で今後求められる情報モラルの内容や教育実践手法、課題等を可能な限り明らかにすること
・調査手法
Webアンケート調査
・調査協力
東京都教育委員会、熊本市教育委員会、戸田市教育委員会、上越教育大学附属小学校/中学校、学校法人福岡雙葉学園
・調査対象者
一人一台端末環境が整っている学校の教員/管理職
・有効回答数
教員:926人(小学校651人、中学校275人)
管理職:133人(小学校96人、中学校37人)
・調査期間
2021年2月〜3月
■考察・提言サマリー
本調査では、一人一台端末環境下の学校で、従来とは大きく異なる変化が見て取れました。この変化のひとつに、ネットトラブルが学校内で発生し、教員が対応を迫られる場面が増えたことがあります。その対応策として、教員による情報モラル教育の実施が増え、その内容も端末の活用を前提とした幅広いものになっています。
このような状況下において、今後の情報モラル教育実践のあり方を改めて考える時期にあるといえます。
特に、教員の意識や努力だけに依存するのではなく、一人でも多くの教員が無理なく情報モラルを指導できる「仕組み」を整えることが必要となるでしょう。
具体的には、ICT活用や情報モラルに関する教員の指導力向上に向けた教育支援プログラムの充実化や、これまで情報モラル教育の一翼を担ってきた企業等の外部専門機関からの支援および分業の体制化、保護者や地域との連携等が考えられます。
児童・生徒に関わる関係者が、このような継続的な啓発の仕組みを議論していく必要があるといえます。
