コラム

闇バイトのリスクを、学校でどう伝えるか

2026年06月11日

対象:教育関係者向け
教材:闇バイト防止教育教材


トップページ > まなびのコラム> 闇バイトのリスクを、学校でどう伝えるか

闇バイトのリスクを学校でどうつたえるかとタイトルと同様のテキストの記載がある画像

近年、「闇バイト」に関するニュースを目にする機会が増えています。
SNSなどで見かける「高額報酬」「即日即金」「簡単な仕事」といった言葉をきっかけに、若者が犯罪に巻き込まれてしまうケースは、今も大きな社会問題となっています。

青少年と日々関わる先生方にとっても、こうした問題は決して無視できるものではありません。
生徒たちが日常的にスマートフォンやSNSを利用しているからこそ、学校でも予防的な指導や教育の機会をつくりたいと感じている方も多いのではないでしょうか。

01
闇バイト防止教育の難しさ
02
「知っている」だけでは、防ぎきれない
03
「自分は大丈夫」と思うところから、少しだけ踏み込む
04
「相談していい」と思える環境をつくる
05
授業で扱うための教材を公開しています
06
関連コンテンツ

01. 闇バイト防止教育の難しさ

闇バイトのリスクを学校で伝えることには、難しさもあります。

危険だからやめましょう」
「怪しい募集には応募しないようにしましょう」
「犯罪に関わってはいけません」


もちろん、こうしたメッセージは大切です。
けれども、闇バイトが危険であること、違法であることは、多くの生徒がすでに知っています。

それでも、実際には関わってしまう人がいる。
この点に、闇バイト防止教育の難しさがあります。

学生がスマホを見ている際に高額報酬、即日即金、簡単な作業などと記載された看板があり、気を引く様子の画像

02. 「知っている」だけでは、防ぎきれない

闇バイトの問題は、「知識がないから起きる」とは言い切れません。

むしろ、生徒自身も「そんなことはやってはいけない」とわかっている。
そのうえで、金銭的な不安、人間関係の悩み、家庭の事情、孤立感、焦りなどが重なったときに、普段なら選ばないはずの選択肢に手を伸ばしてしまうことがあります。

また、SNS上の募集は、最初から犯罪だとわかる形で現れるとは限りません。

「荷物を運ぶだけ」
「簡単な確認作業」
「短時間で高収入」
「即日即金」


こうした言葉だけを見ると、一見すると普通のアルバイトや副業のようにも見えます。
しかし、その先に犯罪への加担リスクが潜んでいる場合があります。

だからこそ、闇バイトのリスクを伝える際には、単に「危ないものを避けよう」と伝えるだけではなく、
「なぜその言葉にひかれてしまうのか」
「どんな状況なら、自分も判断を誤るかもしれないのか」
「おかしいと気づいたとき、誰に相談できるのか」
まで考えることが大切です。

03. 「自分は大丈夫」と思うところから、少しだけ踏み込む

闇バイトについて学ぶとき、生徒の中には「自分には関係ない」と感じる人もいるかもしれません。
それは、ある意味では自然な反応です。

多くの人は、自分が犯罪に関わる場面を想像しながら生活しているわけではありません。
「自分はそんなことをしない」と思うこと自体は、決して悪いことではありません。

ただ、「自分は大丈夫」で考えることが止まってしまうと、現実のリスクに備えることは難しくなります。

もし、本当にお金に困っていたら。
もし、誰にも相談できない悩みを抱えていたら。
もし、SNSで見かけた募集が、ほんの少しだけ怪しいけれど、今の自分には魅力的に見えてしまったら。

そうした場面を一度想像してみることが、予防の出発点になります。

闇バイトを“遠い世界の出来事”としてではなく、自分の生活やスマートフォンの使い方とつなげて考える。
その姿勢を育てることが、学校での情報モラル教育において重要ではないでしょうか。

04. 「相談していい」と思える環境をつくる

もう一つ大切なのは、相談できる環境です。

闇バイトに関わってしまった人の中には、途中で「おかしい」と気づいても、すぐに助けを求められない人がいます。
個人情報を送ってしまった。
相手から脅されている。
自分にも責任があるのではないかと思っている。
怒られるのが怖い。

そうした不安が重なると、ますます一人で抱え込んでしまいます。

だからこそ、学校で闇バイトのリスクを伝えるときには、危険を見抜く力だけでなく、
「困ったときは相談してよい」
「途中で気づいたなら、そこから助けを求めてよい」
「一人で抱え込まないことも、自分を守る行動である」
というメッセージを、あわせて伝えておくことが大切です。

先生方が日頃から生徒に接している中で、すぐにすべてを解決することは難しいかもしれません。
それでも、「何かあったときに相談していい大人がいる」と生徒が感じられることは、大きな支えになります。

生徒が先生や保護者に相談している画像

05. 授業で扱うための教材を公開しています

LINEヤフー株式会社では、これまで青少年向けの情報モラル教育に取り組んできました。
その一環として、静岡大学との共同研究をもとに、闇バイト防止教育教材「闇バイトを自分ごととして考えてみよう」を開発しました。

この教材は、学校などで先生方にご利用いただくことを目的に、LINEヤフーみらいプロジェクトのサイト内で無償配布しています。

教材では、闇バイトの危険性を伝えるだけでなく、
生徒自身が「自分にも起こり得るかもしれない」と考えること、
SNS上の情報や募集文を見極めること、
おかしいと感じたときに一人で抱え込まず相談すること、
を扱っています。

授業ですぐに活用いただけるよう、授業用スライド、生徒用ワークシート、指導者用ガイドブックも用意しています。
闇バイトをテーマにした授業をどのように進めるか迷われる場合にも、少しでもお役立ていただければ幸いです。

授業用教材詳細

「闇バイトを自分ごととして考えてみよう」と記載された教材の表紙画像
「闇バイトを自分ごととして考えてみよう」という教材の中身の画像

おわりに

闇バイトの問題を、学校の授業だけで完全に防ぐことは簡単ではありません。
生徒一人ひとりが置かれている状況も、使っているサービスも、抱えている悩みも異なります。

それでも、あらかじめ考える機会をつくることには意味があります。

「自分は大丈夫」で終わらせず、少し先を想像してみる。
SNS上の言葉に立ち止まってみる。
困ったときに相談できる先を知っておく。


そうした小さな備えが、いざという時に自分を守る力につながるかもしれません。

この教材が、先生方と生徒が一緒に「闇バイト」に潜む危険性について考える際の、ささやかな手がかりになれば幸いです。

文:LINEヤフー みらいプロジェクト事務局
※  本記事は、2026年2月にマイナビ学生の窓口へ寄稿した内容を編集したものです