コラム

夏休みに増える子どものネットトラブルに家庭でどう備える? -夏休みに陥りがちなネットトラブルの特徴と家庭でできる備えについて-【特別寄稿】常葉大学教育学部学校教育課程 准教授 酒井 郷平

2026年07月16日

対象:保護者向け、教育関係者向け
教材:GIGAワークブック


トップページ > まなびのコラム > 夏休みに増える子どものネットトラブルに家庭でどう備える?

夏休みのリビングでスマートフォンを見る子どもを、保護者が少し離れた場所から穏やかに見守っているフラットなイラスト。窓の外には明るい日差しが入り、家庭でネット利用を考える雰囲気を表している。

夏休みは、子どもたちにとって楽しみな期間です。その一方で、保護者の方にとっては「スマートフォンやゲームの接触時間が増え、トラブルにあう可能性が高くなるのではないか」と気がかりな時期でもあるのではないでしょうか。

実際に、夏休みのような長期休業期間は、子どもたちのインターネット利用をめぐるトラブルが起こりやすい時期です。学校からの目が届きにくく、家庭で過ごす時間が長くなるからこそ、保護者の関わり方がいつも以上に重要になります。本記事では、夏休みに陥りがちなネットトラブルの特徴と、家庭でできる備えについて考えていきましょう。

01
なぜ夏休みにネットトラブルが増えるのか
02
生活リズムを崩す「長時間利用」
03
 SNSによる「出会い」の危険性
04
ゲームやライブ配信による「課金」のトラブル
05
家庭でのルールづくりのポイント
06
夏休みを安心安全に過ごすための「相談」できる関り方
07
おわりに
08
関連教材

01. なぜ夏休みにネットトラブルが増えるのか

夏休みに子どものネット利用をめぐるトラブルが増えやすいのには、いくつかの理由があります。まず、自由に使える時間が大幅に増えることです。学校がある期間は授業や部活動によって自由に使える時間が制限されますが、夏休みにはその制限がなくなります。

次に、大人の目が届きにくくなることです。保護者が仕事で不在の日中、子どもが一人でインターネットを利用する時間は、学期中よりも長くなりがちです。さらに、生活リズムが乱れやすいことも影響します。夜更かしをしても翌朝の登校がないため、深夜の利用に歯止めがかかりにくくなります。

大切なのは、こうしたトラブルが「特別な子ども」だけに起こるものではないという点です。環境が変われば、どの子どもにも起こり得る。そう捉えることが、家庭での備えの出発点になります。

02. 生活リズムを崩す「長時間利用」

夜の寝室で、子どもが布団の中からスマートフォンを見ているフラットなイラスト。窓の外には月と星が見え、スマホの光で顔まわりだけが明るく照らされている。

夏休みの相談として多いのが、利用時間の増加です。動画やゲーム、SNSに夢中になり、昼夜逆転に近い生活になってしまうケースも珍しくありません。

ここで注意したいのは、長時間利用の原因を「意志が弱いから」と子どもの性格の問題だけで捉えないことです。動画の自動再生や、ゲームの毎日のログイン特典など、現在の多くのサービスは「使い続けたくなる」ように設計されています。大人でも途中でやめることは簡単ではありません。

また、問題の本質は利用時間の長さそのものよりも、睡眠・食事・運動といった生活の基盤や、宿題・家族との時間など他の活動が圧迫されることにあります。「何時間までなら良いか」だけでなく、「ネット以外の時間に何をするか」をあわせて考えることが、結果的に長時間利用の予防につながります。

03.  SNSによる「出会い」の危険性

スマートフォンのメッセージ画面に「こんにちは」「今度会わない?」「いいよ」というやり取りが表示されているイラスト。手元のスマホを大きく描き、SNS上で知らない相手との距離が縮まる危うさを象徴している。

夏休みは、SNSを通じて知り合った相手とのトラブルも増える時期です。多くの子どもは「知らない人と会ってはいけない」ということを知識としては知っています。それでも被害が起こるのは、やりとりを重ねるうちに、相手が「知らない人」ではなく「自分を分かってくれる人」に変わってしまうためです。

共通の趣味の話題で意気投合し、個別のやりとりに移り、悩みを聞いてもらううちに信頼感が生まれる。悪意を持って近づく大人は、こうした心の動きをよく理解したうえで接触してきます。夏休みに家庭や学校以外の居場所をネット上に求めたくなること自体は自然なことですが、その気持ちにつけ込まれる危険があるのです。

家庭では「知らない人と会わない」と禁止を伝えるだけでなく、「顔写真や個人が特定できる情報を送らない」「直接会おうと誘われたら、その時点で一度大人に話す」といった具体的な行動レベルで話し合っておくことが大切です。

04. ゲームやライブ配信による「課金」のトラブル

家庭で過ごす時間が長くなる夏休みは、ゲームやライブ配信などへの課金トラブルも起こりやすくなります。中には保護者の知らないうちにクレジットカードやキャリア決済を利用し、気づいたときには高額な請求になっていたという事例もみられます。

課金トラブルの多くは、一度の大きな決済ではなく、少額の決済の積み重ねで起こります。子ども自身も「そんなに使ったつもりはなかった」と感じていることが少なくありません。

予防のために、まずは家庭の決済環境を確認しておきましょう。端末にクレジットカード情報が登録されたままになっていないか、決済時にパスワード入力を求める設定になっているか、利用明細の通知が届くようになっているか。こうした環境面の備えは、すぐにでもできる具体的な対策です。

05. 家庭でのルールづくりのポイント

明るいリビングのテーブルで、お父さんと高学年の子どもが向かい合って穏やかに話しているイラスト。テーブル上のタブレットには文字ではなく記号だけが表示され、困ったときに相談できる親子関係を表している。

日々のスケジュールが変わる長期休みは、ネット等のルールを見直すご家庭も多いと思います。その際に意識したいポイントを3つご紹介します。

1つ目は、子どもと一緒にルールを決めることです。
保護者が一方的に与えたルールは「守らされているもの」になりがちです。「なぜこのルールが必要なのか」という理由を共有しながら一緒に決めることで、子ども自身が納得して守りやすくなります。

2つ目は、具体的な内容としてルールを決めることです。
例えば、「長い時間スマホは使いすぎない」ではなく、「1日2時間まで」といった時間を具体的にすることに加えて、「寝るときは端末をリビングに置く」「食事中は使わない」のように場面で区切るルールは、夏休みの乱れがちな生活リズムを保つうえでも効果的です。

3つ目は、ルールは破られることを前提に考えることです。
ルールが守られなかったとき、それは叱って終わりにするのではなく、「なぜ守れなかったのか」「どこに無理があったのか」を話し合い、ルールを更新する機会と捉えましょう。ルールづくりは一度きりのイベントではなく、繰り返しの対話の中で育てていくものです

06. 夏休みを安心安全に過ごすための「相談」できる関り方

ここまで個別のトラブルと対策を見てきましたが、家庭での指導において最も重要なのは、「困ったときに相談できる関係」をつくっておくことだと考えています。

禁止や監視を強めるだけの関わりは、トラブルが起きたときに「怒られるから言えない」という方向に働きます。SNSで怖い思いをした、課金をしてしまった、そうしたときに子どもが一人で抱え込んでしまうと、被害はより深刻になってしまいます。だからこそ、「何かあったら、怒らないからまず話してほしい」「途中で気づいたなら、そこから相談すればよい」というメッセージを、トラブルが起こる前から伝えておくことが大切です。

また、ニュースで報じられるネットトラブルを親子の雑談の話題にするのも良い方法です。「こういう事件があったみたいだけど、どう思う?」と問いかけることで、説教ではない形で、子ども自身の考えを聞く機会をつくることができます。

07. おわりに

夏休みのネットトラブルは、どの家庭にも起こり得るものです。すべてを完全に防ぐことは難しいかもしれません。それでも、今回ご紹介したように決済環境を確認しておく。子どもと一緒にルールを話し合う。そして、「困ったら相談していい」と伝えておく、といった小さな備えの積み重ねが、いざというときに子どもを守る力になります。

夏休みは、家庭でネットとの付き合い方を話し合う絶好の機会です。本記事が、そのきっかけの一つになれば幸いです。

関連教材 

ご参考:家庭や学校でも読める無償教材のご案内

コラム内で触れた教材は、以下のサポートページから詳細をご確認いただけます。また、教材お申し込みフォームより無償でダウンロードが可能です。

活用型情報モラル教材「GIGAワークブック」


・GIGAワークブック(ビギナー)      P. 117 家庭でのルールを作ろう
・GIGAワークブック(スタンダード)P. 135 ついついルールをやぶってしまうときは
・GIGAワークブック(アドバンスト)P. 160 タイムマネジメントを身につけよう
・GIGAワークブック(アドバンスト)P. 167 使いすぎてしまう時は?

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【特別寄稿】

文: 酒井 郷平(さかい・きょうへい
常葉大学教育学部学校教育課程 准教授。博士(教育学)。専門は教育工学、情報教育、情報モラル教育など。
常葉大学教育学部 酒井研究室 (外部サイト)